2008年04月02日
手裏剣税理士の仕事シリーズ(その3)
【その3】いわゆるひとつの記帳代行業務
たまには仕事の話も書かんとね。
というわけで今回は記帳代行編です。説明調なのでお客さんになったつもりで読んで下さい。(ってをい ^^;)
1) 資料請求・入手
基本的にはこれとこれとこれを用意してくださいとあらかじめお願いしますが、慣れてきたら省略する場合もあります。不足分は再請求になるので交通費や送料もバカになりません。きっちり揃えてご持参・ご送付いただければありがたいです。
たまった資料をどっかり送ってこられても構いませんが、その場合は料金はちょい高めで処理は少しお時間をいただくことになります。ご注意下さい。
なお、お忙しい場合は手裏剣税理士が引き取りに参上致しますが、遠方の場合は実費をご負担いただく場合がありますのでその点お含み置き下さい。
2) 資料整理
資料は面倒ならガサッと袋に入ったままでもOKです。ただ、きちんと整理しておいていただければ、その分料金がお安くなりますし、処理後、そのままガサっとした状態でお返しするのではなく、資料整理まで行うといった場合はその分作業料が追加になることもあります。
領収書や請求書は日付の若い方から順番に台紙(スクラップブックなど)の下の方から上の方へ重ねて貼る(糊付けする)ときれいに整理ができますし、税務調査時の心証もよくなります。
お客様によっては、日付順に貼ると大小様々な紙片を出現順に雑多に貼らねばならず、貼りにくいし、かさばるし、見栄えも悪い、とお考えの向きもあるでしょう。
その場合には同じ月に発生したものなら日付ではなく紙の大きさで判断し、大きいものから順に下から上へと貼っていくといった方法でも結構です。
ただし本来は毎日適時に作業すべき「経理処理+領収書・請求書等の整理」を1ヶ月まとめて処理をしているといったことがバレバレになりますので、その点お含み置き下さい。
3) パソコン入力&入力チェック
いただいた資料をもとに、職員と手分けして手裏剣税理士も入力を手伝っています。
振替伝票がある場合は伝票から、ない場合は帳簿や資料から直接入力を行います。
預金通帳のコピーや当座照合表をちょっと大きめに拡大コピーしていただいて金額の横に相手先や内容を書いていただく程度でも処理できますが、内容不明で問い合わせ事項が多いといった場合は料金はちょい高めになります。
これは振替伝票を作成していただいている場合も同じで、誤仕訳やダブリ、記入漏れなどが多い場合はかえってチェックに時間がかかりますので、料金は高めになります。
もちろん誤仕訳やダブリなどというものは「わかっていてもうっかりやってしまうもの」なので頻度が高くなければ問題には致しません。何度もご指摘させていただいているのに一向に減らない、なおらないといった場合に顧問料更新時に料金が見直しになり加算されるといった仕組みになっています。
草木も眠る丑三つ時。データ入力と入力結果のチェックなどをしていると取引の内容はほぼ頭に入りますし会社の動きも把握できます。データ入力をアウトソーシングするのも良いのですが、その場合であっても個々の入力データのチェックをなおざり(又はおざなり)にして試算表になった結果の数値だけを見ていると思わぬ落とし穴が待っていることもあります。
※注 なおざり=さぼってやらない
おざなり=やってはいるが、いいかげん
普段は忙しくて伝票なんか見ていない、という社長さん、税理士さん、時々で良いのできちんと目を通してみて下さい。もしかしたら新しい発見があったり問題点が見つかったりすることがあるかも知れませんよ。
4) 不明点等の問合せ
不明点の問い合わせや処理中に判明した不足資料の請求は基本的にはメールやFAXなど文書で行います。
お返事については電話でも結構ですが、意味の取り違いや聞き違いなどがあると困りますし、中には顧問先様の明確な意思表示がないと処理できないものもありますので、なるべくメールやFAXなどの文書でご回答いただければありがたいです。
基本は到着順の処理なので早く返事をいただければ早く処理します。放っておくとどんどん処理が遅れます。ご注意下さい。
5) 試算表作成・経営チェック
こちらで入力とチェックが完了したら試算表を作成します。消費税は現時点でいくら納めることになっているのか、決算対策や融資対策は必要ないか、異常点はないか、などなどいろいろなチェックとそのご報告を行います。
ご報告はFAX又はメールで行うことが多いのですが、緊急かつ重要な事案の場合は加えて電話や面談にてご説明することにしております。
6) 返却・お渡し資料の作成と送付
お預かりしておくべき資料はお預かりし、お返しすべき資料やお渡しすべき書類等は、返却送付資料明細とともにお届け致します。
7) 楽しい嬉しい請求書作成・送付
あと、ついでに請求書も同封させていただきます。料金は低額に抑えておりますので振込料はご負担願います。
[閑話休題]
大体こんな感じで資料が揃ってから1週間前後を目途に処理を完了することにしていますが、繁忙期、問い合わせに時間がかかる場合、ボリュームがある場合(何ヶ月か資料を一括で送ってこられた場合も含む)、といった特殊な事情のほか、複数の顧問先様の資料が同時期に届いた場合などは、もう少しお時間をいただくこともあります。
銀行借入をするので突貫工事で試算表が欲しい!といった事情がある場合は可能な限り早く仕上げてお出しするよう努力しておりますが、あまりに無茶な要求にはお応えできません。
(参考)記帳代行業務に対する考え方
記帳代行については特に法規制がなく誰でも業として営むことができるので、記帳代行業務は市場原理にさらされ厳しい価格競争の世界に突入しています。
昔は会計事務所にしかなかった高価な専用機や専用ソフトも今はパソコンを使った安いソフトに置き換わり、簿記や仕訳がわからなくてもある程度研修すればなんとか自動的に試算表や総勘定元帳まで作成できる環境が整っています。
業界でも「今時、記帳代行では食っていけないよ、税理士はもっと違う分野に業務をシフトしていかなければダメだよ」なんてまことしやかな話をよく聞くのですが、その「違う分野」ってのが横並びのほぼ同じ方向性なのは何故なのか、その誘導自体に特定のバイアスがかかっているかも知れないと考える人が少ないのは何故なのか、私には不思議でなりません。
ともあれ、ウチは記帳代行業務を単なる不採算業務のやっつけ仕事だとは考えておりませんし、税理士の業務をシフトするために「自計化」という名の入力作業負担を顧問先様に押しつけたり、そのためのソフトやシステムを押し売りしたりするようなことは致しません。
経営に活用するため自計化をぜひやりたいんだ!という意欲なり目的なりをお持ちの顧問先様には自計化のためのアドバイスと移行期のサポートをさせていただいておりますし、それ以外の顧問先様にも自計化についてのメリット・デメリットなどを説明させていただいておりますが、あくまでも顧問先様の意向を中心に業務を組み立てることにしています。
記帳代行業務については、ウチにご依頼いただいた場合は税理士にしかできない税務上のチェックやアドバイスなども併せてきちんと行いますし、決算申告業務と併せてご依頼いただくことで、トータルで考えればなるべく安くなるよう配慮をしています。
ただし、ウチではハンコだけ押すという業務は請け負っておりませんので 記帳代行業者+ハンコだけ押す税理士 のパターンよりは幾分か高めになることは否めません。
これは、有資格者がきちんと取引を精査し、有資格者としての仕事をしてから、その業務に見合ったお金をいただくのが筋だと考えているからです。
余談になりますが、資格は持っているだけで価値があるのではなく、その資格に見合う仕事をして始めて価値があるのだと私は考えています。
単に資格に頼り依存してハンコだけの価値でお金をもらうのではなく、資格に自らの能力資質をプラスした価値でもってお金をいただき、逆に自分の価値で持っている資格の価値を高めるくらいでなければ胸を張って有資格者であると言えないし、有資格者である意味もないと考えています。
記帳代行も単なるやっつけ仕事だと思えば何も見えてきませんが、証憑資料をお預かりし、何か顧問先様にアドバイスができないかと思って専門家の目で取引内容を精査すると見えてくるものがあったりします。
また、起業後間もない会社や小規模な会社など、社長が営業から経理から何から何までやらなければならないような状況にある場合には、会計事務所が記帳代行その他の雑事を請け負うことで社長が本来すべき仕事に専念できる環境をつくることができますし、併せて経営上のアドバイスなども提供することができます。
そういった意味で記帳代行業務は決して不採算業務などではなく、主力業務たり得るものだと私は考えています。
税理士事務所の経営者としてはもちろん他の業務への展開も常に考えていますが、記帳代行業務からシフトするのではなく、記帳代行業務に加えて他の業務を行う方向性で計画をたてています。
たまには仕事の話も書かんとね。
というわけで今回は記帳代行編です。説明調なのでお客さんになったつもりで読んで下さい。(ってをい ^^;)
1) 資料請求・入手
基本的にはこれとこれとこれを用意してくださいとあらかじめお願いしますが、慣れてきたら省略する場合もあります。不足分は再請求になるので交通費や送料もバカになりません。きっちり揃えてご持参・ご送付いただければありがたいです。
たまった資料をどっかり送ってこられても構いませんが、その場合は料金はちょい高めで処理は少しお時間をいただくことになります。ご注意下さい。
なお、お忙しい場合は手裏剣税理士が引き取りに参上致しますが、遠方の場合は実費をご負担いただく場合がありますのでその点お含み置き下さい。
2) 資料整理
資料は面倒ならガサッと袋に入ったままでもOKです。ただ、きちんと整理しておいていただければ、その分料金がお安くなりますし、処理後、そのままガサっとした状態でお返しするのではなく、資料整理まで行うといった場合はその分作業料が追加になることもあります。
領収書や請求書は日付の若い方から順番に台紙(スクラップブックなど)の下の方から上の方へ重ねて貼る(糊付けする)ときれいに整理ができますし、税務調査時の心証もよくなります。
お客様によっては、日付順に貼ると大小様々な紙片を出現順に雑多に貼らねばならず、貼りにくいし、かさばるし、見栄えも悪い、とお考えの向きもあるでしょう。
その場合には同じ月に発生したものなら日付ではなく紙の大きさで判断し、大きいものから順に下から上へと貼っていくといった方法でも結構です。
ただし本来は毎日適時に作業すべき「経理処理+領収書・請求書等の整理」を1ヶ月まとめて処理をしているといったことがバレバレになりますので、その点お含み置き下さい。
3) パソコン入力&入力チェック
いただいた資料をもとに、職員と手分けして手裏剣税理士も入力を手伝っています。
振替伝票がある場合は伝票から、ない場合は帳簿や資料から直接入力を行います。
預金通帳のコピーや当座照合表をちょっと大きめに拡大コピーしていただいて金額の横に相手先や内容を書いていただく程度でも処理できますが、内容不明で問い合わせ事項が多いといった場合は料金はちょい高めになります。
これは振替伝票を作成していただいている場合も同じで、誤仕訳やダブリ、記入漏れなどが多い場合はかえってチェックに時間がかかりますので、料金は高めになります。
もちろん誤仕訳やダブリなどというものは「わかっていてもうっかりやってしまうもの」なので頻度が高くなければ問題には致しません。何度もご指摘させていただいているのに一向に減らない、なおらないといった場合に顧問料更新時に料金が見直しになり加算されるといった仕組みになっています。
草木も眠る丑三つ時。データ入力と入力結果のチェックなどをしていると取引の内容はほぼ頭に入りますし会社の動きも把握できます。データ入力をアウトソーシングするのも良いのですが、その場合であっても個々の入力データのチェックをなおざり(又はおざなり)にして試算表になった結果の数値だけを見ていると思わぬ落とし穴が待っていることもあります。
※注 なおざり=さぼってやらない
おざなり=やってはいるが、いいかげん
普段は忙しくて伝票なんか見ていない、という社長さん、税理士さん、時々で良いのできちんと目を通してみて下さい。もしかしたら新しい発見があったり問題点が見つかったりすることがあるかも知れませんよ。
4) 不明点等の問合せ
不明点の問い合わせや処理中に判明した不足資料の請求は基本的にはメールやFAXなど文書で行います。
お返事については電話でも結構ですが、意味の取り違いや聞き違いなどがあると困りますし、中には顧問先様の明確な意思表示がないと処理できないものもありますので、なるべくメールやFAXなどの文書でご回答いただければありがたいです。
基本は到着順の処理なので早く返事をいただければ早く処理します。放っておくとどんどん処理が遅れます。ご注意下さい。
5) 試算表作成・経営チェック
こちらで入力とチェックが完了したら試算表を作成します。消費税は現時点でいくら納めることになっているのか、決算対策や融資対策は必要ないか、異常点はないか、などなどいろいろなチェックとそのご報告を行います。
ご報告はFAX又はメールで行うことが多いのですが、緊急かつ重要な事案の場合は加えて電話や面談にてご説明することにしております。
6) 返却・お渡し資料の作成と送付
お預かりしておくべき資料はお預かりし、お返しすべき資料やお渡しすべき書類等は、返却送付資料明細とともにお届け致します。
7) 楽しい嬉しい請求書作成・送付
あと、ついでに請求書も同封させていただきます。料金は低額に抑えておりますので振込料はご負担願います。
[閑話休題]
大体こんな感じで資料が揃ってから1週間前後を目途に処理を完了することにしていますが、繁忙期、問い合わせに時間がかかる場合、ボリュームがある場合(何ヶ月か資料を一括で送ってこられた場合も含む)、といった特殊な事情のほか、複数の顧問先様の資料が同時期に届いた場合などは、もう少しお時間をいただくこともあります。
銀行借入をするので突貫工事で試算表が欲しい!といった事情がある場合は可能な限り早く仕上げてお出しするよう努力しておりますが、あまりに無茶な要求にはお応えできません。
(参考)記帳代行業務に対する考え方
記帳代行については特に法規制がなく誰でも業として営むことができるので、記帳代行業務は市場原理にさらされ厳しい価格競争の世界に突入しています。
昔は会計事務所にしかなかった高価な専用機や専用ソフトも今はパソコンを使った安いソフトに置き換わり、簿記や仕訳がわからなくてもある程度研修すればなんとか自動的に試算表や総勘定元帳まで作成できる環境が整っています。
業界でも「今時、記帳代行では食っていけないよ、税理士はもっと違う分野に業務をシフトしていかなければダメだよ」なんてまことしやかな話をよく聞くのですが、その「違う分野」ってのが横並びのほぼ同じ方向性なのは何故なのか、その誘導自体に特定のバイアスがかかっているかも知れないと考える人が少ないのは何故なのか、私には不思議でなりません。
ともあれ、ウチは記帳代行業務を単なる不採算業務のやっつけ仕事だとは考えておりませんし、税理士の業務をシフトするために「自計化」という名の入力作業負担を顧問先様に押しつけたり、そのためのソフトやシステムを押し売りしたりするようなことは致しません。
経営に活用するため自計化をぜひやりたいんだ!という意欲なり目的なりをお持ちの顧問先様には自計化のためのアドバイスと移行期のサポートをさせていただいておりますし、それ以外の顧問先様にも自計化についてのメリット・デメリットなどを説明させていただいておりますが、あくまでも顧問先様の意向を中心に業務を組み立てることにしています。
記帳代行業務については、ウチにご依頼いただいた場合は税理士にしかできない税務上のチェックやアドバイスなども併せてきちんと行いますし、決算申告業務と併せてご依頼いただくことで、トータルで考えればなるべく安くなるよう配慮をしています。
ただし、ウチではハンコだけ押すという業務は請け負っておりませんので 記帳代行業者+ハンコだけ押す税理士 のパターンよりは幾分か高めになることは否めません。
これは、有資格者がきちんと取引を精査し、有資格者としての仕事をしてから、その業務に見合ったお金をいただくのが筋だと考えているからです。
余談になりますが、資格は持っているだけで価値があるのではなく、その資格に見合う仕事をして始めて価値があるのだと私は考えています。
単に資格に頼り依存してハンコだけの価値でお金をもらうのではなく、資格に自らの能力資質をプラスした価値でもってお金をいただき、逆に自分の価値で持っている資格の価値を高めるくらいでなければ胸を張って有資格者であると言えないし、有資格者である意味もないと考えています。
記帳代行も単なるやっつけ仕事だと思えば何も見えてきませんが、証憑資料をお預かりし、何か顧問先様にアドバイスができないかと思って専門家の目で取引内容を精査すると見えてくるものがあったりします。
また、起業後間もない会社や小規模な会社など、社長が営業から経理から何から何までやらなければならないような状況にある場合には、会計事務所が記帳代行その他の雑事を請け負うことで社長が本来すべき仕事に専念できる環境をつくることができますし、併せて経営上のアドバイスなども提供することができます。
そういった意味で記帳代行業務は決して不採算業務などではなく、主力業務たり得るものだと私は考えています。
税理士事務所の経営者としてはもちろん他の業務への展開も常に考えていますが、記帳代行業務からシフトするのではなく、記帳代行業務に加えて他の業務を行う方向性で計画をたてています。